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第3回 印刷インクと印刷機構の変遷について
1 プリスロ用インクとその変遷
段ボール印刷のインクは通常の呼び方で、フレキソインクとプリスロインク(速乾性インク)に大別されています。

プリスロ用インクには昭和30年後期まで油性インクが使われていました。これは調整が難しいのと、乾燥が非常に遅い為、能率が悪いものでした。
このような背景があって溶剤にグリコールを用いた速乾性インクが開発されました。

その性能は素晴らしく、乾きはそれまでの物に比べて十数倍は速く、しかもインクの調整はインクメーカーが調整したものが納品される事となり、瞬く間に速乾性インクが普及しました。

これには他にもう一つの理由があったのです。それはインクを速乾性インクに変えるにあたって機械は従来のまま改造の必要がなかった事です。

その後も機械をあまり改造しないとのコンセプトのもと、より乾燥の速いインクの開発が進められてきました。
その結果、昭和60年頃に超速乾性インクが開発されました。このインクは先の速乾性インクを更に進化させ、粘度を下げ、乾燥をグンと速めたものでした。溶剤は前と同じグリコールです。

時、あたかもバブルの好況期でインクが早く乾くことにより能率が向上し好評でしたが、反面粘度が低い為、上部より供給されたインクがロールに貯えられる事が少なく、印刷に際してインクの供給量と消費量がバランスする様に調整する必要がありました。
オペレータはこれに慣れる技術を要しました。

平成に入り上記の操作性をよくする為の研究を進め、結論としてフレキソ機のインク機構を改造しプリスロ機に採用、インクもこれにあわせて再度開発する事(溶剤はグリコール)とし、平成2年エクシードが開発されました。

これにより印刷仕上がり精度は格段の向上を遂げ、又インクロスは減少し、且つ操作性も安易になり誰でも同じ奇麗な印刷が出来るようになりプリスロの革命と言える開発が為されたのです。

2 プリスロ用インクとフレキソインクについて
ここまではプリスロ用インクについてその変遷をお話してきました。

別表インク組成表にてお気づきになると思いますが、フレキソインクと大きく異なる点は、溶剤にあります。プリスロはグリコールであり、フレキソは水であることです。

グリコールは蒸発し難く、且つ空気中の水分を吸収する性質があるので、印版やロール上でインクが乾き難く、この為仕事中、長時間機械を停止する事があっても、印版上のインクが乾き、拭き取る等の手間が掛りません。溶解性もよいので掃除が簡単で、扱い易さがあり、小ロットオーダにはピッタリです。

また印刷の乾燥も非常に速くなっています。しかしフレキソと比べると未だに少し劣っていましたので、フレキソフォルダグルアやフレキソダイカッタ等複合マシンには向かないものでした。

又このインクの、別の大きな利点は仕事上において、インクロスと洗浄廃液がフレキソに比べて格段に少なくて済む事です。後述しますが見逃しがたい利点です。

一方段ボールのフレキソ印刷は昭和40年前期に初めて製品として出廻るようになりました。当初インク、印版、機械共に問題を抱えていましたが次第に解決されました。

こちらは基本的にはプリスロ用インク程大きく変わっておりません。しかしインク、印版、機械などあらゆる性能が格段に進歩しています。最近では高度なプロセス印刷が出来るようになっています。勿論速い乾燥がこのインクの特色である事に変わりありません。

従来のインク機構では多量のインクを循環させていますので、切り替え時にインクロスが多く、且つ多量の洗浄液を排出する為、大掛かりな排水処理装置が必要になります。

バクテリア活性法、凝縮分離法等、大きな設備が必要です。また焼却する方法は大気を汚します。しかもこれらの装置にも人手が掛かります。これがフレキソの弱点でした。

最近はこれを解消した機械も開発され、少量の水(従来の10分の1程度)で洗浄が完了する機構を持ちインクロスも同じく10分の1程度まで抑えられたものです。(ISOWA製品名スーパーフレックス、ハイパーフレックス)

3 奇麗な印刷をする為には
1. 印版

1) 転位性、受理性、とよく言われる言葉について考えてみましょう。

転位性とはインクを他に受け渡すことです、受け渡し易いか、否か。受理性とは受け取る時に受け取り易いか、否か、です。

印版について言えば、印版材質が軟らかい(多孔質)程インクの転位性、受理性は良いのです。
またインクは粘度が高いほど、機械運転速度が速いほど、一般的には、転位性が良くなります。

又、段ボールに対する馴染みも印版材質が軟らかいほど良い訳で、印刷紙の表面に多少の凹凸があってもムラなくインクは転位します。しかし印刷の色相、均一性、太字、細字、等々で一概に材質の硬度だけを論ずる事は出来ません。

印版に表面処理を施し、長所は残し、欠点を補っているものもあります。

2) 印版厚さはテキスト「第1回 理論円周長と印版伸率のお話」でお話しましたように非常に重要な要素の一つです、必ず機械に合ったものとして下さい。

インクロール又はアニロックスロールからインクを受け取るに際し、印版とのタッチが強かったり、弱かったりすると、マージナルゾーンが出たり、印刷がカスレたりします。
印版のムラとりは充分に丁寧にして下さい。

プリスロインクも最近はフレキソインクと粘度の差が無くなっていますので印版のムラ取りはフレキソと同様に丁寧に行って下さい。
又印版は機械の印刷シリンダに巻かれるので、 「第1回 理論円周長と印版伸率のお話」にある様に円周方向には外周が伸び、歪みが起きます。即ち版の中央部は薄くなり、端は厚くなる傾向があります。

これを防ぐ為、通常印版は7mm程度のものを使用するところ3mm程度の薄いものを使用し、 裏にスポンジ状の板を貼りあわせ正規の厚みとして、版の歪みを少なくすると同時に、前に述べました様に印刷紙との馴染みを良くする様にしたものもあります。

3) 製版について
最近では作業の能率化から殆どが全列製版となっていますから、これについてお話します。

例として1色目にこれだけの(、○)の印刷物があるとします、印版の貼り方を上図によって説明します。(図はわかりやすくするために色わけをしています)

初めにバー先端から20mm〜30mm位の位置に基準線を描きます。これをシート進行方向の先端と見做します。つぎに中心線を入れます。機械の中心に合わせる線です、大きな版はここで左右2つに分けます。この事は総ての製版で揃えます、バラバラではいけません。

寸法a、b、cは「第1回 理論円周長と印版伸率のお話」にある縮尺で設定し、D,Eは普通寸法で設定します。
この線が全ての基準となります。

この基準線の中心にそれぞれの印版の中心を合わせ貼っていくことによって正規の位置に版を貼り付けることができます。

(参考) インク組成表、フレキソインクメンテナンス一覧表

1) 組成

機種 フレキソインク プリスロインク
色素 顔料 顔料
ピヒクル 天然合成樹脂 天然合成樹脂
水、アルカリ グリコール、アルカリ
添加剤 添加剤

2) インク取扱上の注意
a. インクを缶から取り出す前に缶をよく振る事。
b. 印刷物のデザイン、印刷速度によって適性なインク粘度を決める。
c. インク粘度が高い場合には、水又は専用の溶剤によって希釈する。
d. 希釈し過ぎて粘度が低くなったインクは、原液を混入して粘度を調整する。
e. 印刷中の粘度変化に注意すること、適時粘度をチェックして、異があれば調整する。
f. インクが使用中に発泡した場合は消泡剤をインクに対して0.2%程度混入する。
g. 印刷終了後、機械の洗浄は出来るだけ早く行う。
h. 缶に戻したインクは密封保存する。
i. 再使用のインクは、80メッシュ程度の網を通して使用する。

3) インクのトラブルと対策

現象 原因 対策
A. 所定の色相が得られない 1. インク粘度が低すぎる 原液を混入する
2. インクの分離、沈降 缶をよく振る等する
3. インクの絞り過ぎ 絞りを調整する
4. インクの転移不良 ロール、版等をチェックする
B. 印刷物の乾燥不良 1. インク粘度が高い インクを薄める
2. インクの絞りが不良 絞りを調整する
3. マージナルゾーン タッチ調整、ムラを取る
4. インクの乾燥不良 速乾性インクを使用する
5. 吸収性の悪い原紙を使用の場合 吸収性の良い紙に変える
C. 所定の色相が得られない 1. 版の精度不良 版のムラを取る
2. タッチが強い タッチを調整する
3. インク粘度が高い 粘度を調整する
4. インクの絞り不良 絞りを調整する
D. 細かい図柄や文字が潰れる 1. 版の精度不良 版のムラを取る
2. タッチが強い タッチを調整する
3. インク粘度が高い 粘度を調整する
4. インクの絞り不良 絞りを調整する
E. 紙にインクがうまく転移しない 1. 印圧不足 印圧を調整する
2. 版の硬度不良 硬度をチェックする
3. 紙の撥水度 撥水用インクを使用する
4. 紙の平滑度が悪い 粘度を上げる、絞りを緩める
F. インクが発泡する 1. インクの抑泡力不足 消泡剤を加える
2. インクの循環量不足 循環量を増加する
3. パイプのエア漏れ エア漏れを防ぐ
G. ピンホールを生じる 1. 消泡剤の入れ過ぎ 混入量に注意する
2. インクの薄め過ぎ 原液を混入する
3. 低粘度インクの盛り過ぎ 原液を混入して絞る
H. 版の磨耗が激しい 1. タッチが強すぎる タッチを緩める
2. 印圧が強過ぎる 印圧を下げる
3. 版の精度不良 版のムラを取る
I. インクがゲル化する 1. 溶材の使用間違い 専用溶剤を使用する
2. 他社インクとの混合 混合前に確認する
3. 保存不適当 密閉保存する
4. インクの経時変化によるもの
長時間放置されたもの
インクを交換する
5. インクの製造時配合ミス インクを交換する
J. ブロッキング

 (印刷物がくっつき合って
  1つの固まりになる)

1. 紙の吸湿性が悪い 紙を吸湿性の良い物に変える
2. インクの乾燥が遅すぎ 速乾性のインクを使用する
3. インクの盛り過ぎ 絞り、インク粘度を調整する
K. チョーキング

 (印刷物がチョーク状になり、
  こすると落ちる)

1. インク中の樹脂が脆弱 インクを交換する
2. インク中の樹脂量が少なすぎる インクの交換又はメジウムを入れる
3. 希釈し過ぎ 原液を入れる
※1)〜3)は大阪印刷インキ製造株式会社様の資料を転載させて頂きました。

4) フレキソ印刷の色相管理

※色相を左右する要因
印刷物は毎回同じ色相で印刷されなければならないのですが、その時の印刷条件により許容範囲からぶれることがあります。

その要因としては次のようなものが挙げられます。

1. インク粘度の差による色相ぶれ
a. 前回と印刷粘度が違う場合
b. 水希釈過剰の場合 → 低粘度
c. ロングラン印刷に於けるインクの粘度アップ
2. 印刷スピード差による色相ぶれ
2ロール方式の印刷機ではスピードが上がれば色相は濃くなる。(インクの転移量が増す)
3. 印刷機の絞り(インク)の差による色相ぶれ
印刷スピード及びインク粘度が前回と同じなのにロール絞りが変わればインクの転移量が変わる。
4. 紙質の差による色相ぶれ
紙色の違い及び吸収性の差による発色の違い
5. 印版の差による転移量の差
a. 版硬度の差
b. 版の材質変化による差(ゴム版、樹脂版)
6. 印刷機種の変更による色相ぶれ
各機械メーカーの特徴
機械によって盛れる機械、或いは絞れる機種があるので転移性が変わる。(使用しているア二ロックスロールの差もあります)
7. インクそのものの色相ぶれ
調色ミス
8. その他
a. 機械の洗浄不足によるインクの濁り
b. 色相チェック時の光源の影響
c. アニロックスロールの磨耗

以上のような要因が考えられますが、実際の印刷に於いては印刷物のキープサンプルを取り、その時の印刷条件(インク粘度、印刷スピード、日付、タッチ、印圧etc)を記録しておくと次回からの印刷に便利です。

またインク粘度自動調整装置の取り付けなども有効です。

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